不動産情報流通IT化の為にすべき事
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以上、現状と課題と技術要素、さらに具体的な海外事情を見てきたところで、日本の不動産業界の情報流通IT化の目指すべき姿のまとめです。
まずは、各物件検索サイトへの入稿で、いちいち手入力やわざわざコンバートをしなければならない状況を無くすべきです。
そのためには、
1.XMLで業界標準フォーマットを作る
データフォーマットをXMLで標準化し、どのベンダーのソフトウェアからでも統一されたフォーマットで情報を入稿できるよう標準規格を整備すべきです。なんども言いますが、特定の企業の仕様ではなく、不動産業界団体が主導し、標準化団体なりでフォーマットの標準化をやるべきです。個々のベンダーの囲い込みを防ぐのがポイントだからです。
2.標準化されたXMLフォーマットでやり取りする標準APIを作る
標準APIを使えば、異なるシステム・ソフトウェア同士で情報のやり取りが飛躍的に効率化され、様々な課題や弊害が解消されます
以前書いた通り、海外の不動産業界ではRETS Web APIがあります。このブログでさえ、普通にXMLのAPIをサラッと使って投稿しています。日本の不動産業界で出来ない理由はありません。
3.物件検索サイト・レインズ入稿で標準APIに対応する
XMLによってフォーマットとAPIが標準化されれば、自社物件管理システムからレインズなどに物件情報を登録(または更新・取得)する際だけでなく、様々な連携がスムーズになり、新しい利用方法も出てきます。
上記の図で言うと、「Webアプリケーション プラットフォーム+データベース」の部分は、自社ウェブサイトでも、ハトマークや不動産ジャパンのサイトでも、それこそレインズとも、はたまたそれ全部ひっくるめて読み替えて頂いてOKです。
物件検索サイトやレインズ側でAPIに対応すれば、より新鮮で正確な物件情報が、より多く効率的に集められるでしょう。
未だにレインズに手入力させたり、FTP+CSVでコンバート業者に月々3万円を払ったり、といった原始的な状況を卒業しましょう。
それだけでなく、新たな活用方法として、例えば物件管理システムから物件情報データをXMLベースの形式で書きだし、別の図面作成ソフトに流し込んで図面を自動で作成とか、または元付け会社が物件情報をXML形式でメールに添付して送信したり自社サイト上で配信して - RSS・Atomフィードのように! - 受け取り側の客付け会社などがそれを利用する等々。
日本でも、不動産業界、腰を上げて標準フォーマットとAPI規格を作りましょうよって話です。抵抗勢力の反対は大きいでしょう。物件検索サイトなどは囲い込みがビジネスモデルですから情報流通が効率化して不動産業者が楽になるのは自社ビジネスにとって不利益だから裏で強硬に抵抗するでしょう。しかしそれは、近視眼的な無知からくる誤りです。本来は、そういったステークホルダーにも大きなビジネスチャンスとなるものだからです。
経験上、そういった抵抗勢力は、大抵表立っては反対せず、なんだかんだ話しを逸らしたり、無関係な理由を持ち出して言い訳を言います。そう言った旧習にしがみつく抵抗勢力を組み伏せる必要があります。つまり、論理的に根拠を上げて説明して説得です。
私は、ひとりで10数年以上前から同じことを言ってます。もうそろそろ時代でしょう。じゃないと、この業界に身をおくもの(元関係者)として、情けなくなってきます。
実はその後、国交省でも、2008年の段階で「不動産ID・EDI研究会報告書」なるものを出しているんですよね。残念ながら、ポイントがずれている上に、アメリカのRETSなどの仕様については数行触れただけでスルーしてしまっている残念な報告書となってしまっています。なんで日本はこんなにも動きが遅いのでしょうかね。
いや、「遅い」のではなく、まったく動いていない、でした。
以下、思いつくまま作ってみた資料です。参考までに置いておきます。