不動産情報デジタル標準化の覚書

(元)宅建士・プログラマーが提言したいこと

現状(1):物件情報の流れ(物件広告)

本ブログは下記へ移転しました。誠に申し訳ありません、お手数をおかけします。

 

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>>目次

 はじめに、現在の不動産業界における物件情報(広告)の流れを、賃貸物件をメインに整理しておきたいと思います。

 まず、貸主と媒介契約を結んだ元付け業者は、物件調査を行い、それを物件広告の情報として、様々なルートで直接・間接的に情報を流します。

 近年では、それを客付け業者がさらに流通(2次広告)させるケースも多くなっています。

物件情報の流れ

物件情報の流れ

 

 物件情報の流通チャネルの代表的なものとしては、

1.不動産会社の自社サイト

 今の時代、個人でも無料で1分とかからずにブログやウェブサイトは作れる時代。会社でも、月々400円もかからず独自ドメインレンタルサーバーを借りられる時代となりました。

 中小の不動産会社は、自社サイト上で各種CGIプログラム等のウェブアプリケーションを稼働させて物件検索システムを稼働させるような形態が多いように見受けられます。自社サイトへの物件情報の登録方法は様々ですが、管理画面で手入力という方法を含め、自社のシステムと連携させた独自の方法が多いでしょう。

2.物件検索ポータルサイト

 大多数のエンドユーザーが利用する、いわゆる不動産物件検索サイトです。どの不動産業者も、たいてい下記の大手3つの内、少なくとも1つは利用しているようです。そこからさらに色々なところ(一般のYahooと言ったポータルサイト等)にも情報が転載されるのがほとんどです。

 主な不動産物件検索サイトは以下の通りです。

アットホーム

 昔からある会社で、以前より営業マンが地元系不動産会社を個別に訪問して紙の図面(ファクトシート)、いわゆる「マイソク」を流通させる形態から発展して物件情報検索サイトを運営。

 上記の経緯から、やはり不動産会社から直に集める情報量は多く正確な一方、(良くも悪くも)昔ながらの紙図面の流通形態を引きずっているところもり、(良くも悪くも)業界団体と密着している面もあります。

スーモ

 リクルートの運営する物件検索サイトで、昔の雑誌イサイズの系統を持ちます。一時リクルートの再編でぐちゃぐちゃになり、スーモの名前で復活しました。スーモの管理画面を見ると、入稿とか、未だに雑誌媒体の形態を引きずっているのが痛々しい面もありますが、リクルート系の情報網で一応質は高い。しかし広告掲載価格が高いので掲載物件数は多いとは言えないです。

ホームズ

 インターネット時代の新興物件検索サイト(でしたが最近はもはや新興とも言えず)。管理画面も使いやすく、問い合わせ課金制の掲載数無制限など、新しいことに挑戦するのが特徴です。ただ、掲載数無制限なので悪質なアパマンショップなどが無承諾「おとり広告」を無制限に乗せまくって公正取引違反問題となったりしてました。

3.業界団体サイト

 不動産業界団体が運営する物件検索サイトも複数存在します。一般には殆ど認知されているとは言えず、様々な面で痛々しい失敗をしています。

ハトマークサイト

 全宅連(公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会)という、全国の不動産業界団体が集まった団体の運営する、一般向け検索サイトです。

 実質、下記都道府県の下部団体の団体サイトから自動的に上がってくる情報ばかりでカタチばかりとなってしまっている検索サイトと言えるでしょう。

ハトマークネット 

 全宅連の東京都下部団体である都宅建公益社団法人東京都宅地建物取引業協会)が運営する、東京都をカバーする一般向け検索サイト。

 全宅連に参加する不動産業者は、物件掲載料が無料だが、集客力の無いサイトで、かつ使いにくいのであまり使われてないのが実態。アットホームに物件掲載すると、このハトマークにも半自動的に(任意で)転載される。実はアットホームが実質的に運営。え?マジ?それでいいの?利益相反じゃないの?・・・。

不動産ジャパン

 鳴り物入りで「統合サイト」と名づけ、「日本全国の4大不動産団体共同の物件検索サイト!」と立ち上げたはいいけれど、泣かず飛ばずでいつの間にか、単なる「不動産豆知識情報サイト」という変わりよう。もはや物件情報なんかないに等しいという・・・。

 運営団からして、今の今まで(2015年4月まで)「不動産流通近代化センター」という名前からして超前近代的な官僚的組織でして・・・。

 このサイト、問題だらけだけれども、もはやただの過去の遺物なのでスルーします。

ハトさん - ハトマーク東京不動産

 都宅建会員で作る共同組合、東京都不動産共同組合が運営する一般向けサイト。

 平成23年12月に出来て、始まる前からこりゃないよ的な予感が的中。以前、NTTデータや日立なんとかとか、いわゆるITゼネコンSIer)に丸投げして億単位のお金を無駄にして痛い目にあったという経験から、「今度はクラウドだ!」の掛け声の下、セールスフォースの顧客管理システムをカスタマイズして、物件管理システムとして運用するとかいう企業の提案にのってしまい、「顧客」を「物件」に脳内変換して物件情報を登録するとかいう異様なシステムが登場。

 案の定、使い勝手が悪すぎて会員も殆ど使っていないという・・・。広告はやたら目にしたけれど、広告宣伝費に幾ら使ったんだろう。

まとめ

 さらには、フランチャイズ系のポータルサイトや、企業系のポータル、コンバート系と言われる中間業者などさまざまな形態があるが、とりあえず、2015年の今、不動産会社の物件掲載先の定番は、


1)自社サイト
2)民間不動産物件検索サイト
3)団体系サイト

となります。

 

次回は、エンドユーザーから見た物件検索を見ていきます。